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前立腺癌の確定診断は、前立腺針生検により、病変部の一部を採取し、顕微鏡の検査で癌細胞を確認します。 従来の前立腺針生検は、超音波画像をみながら、前立腺全体を満遍なく16か所穿刺する方法(超音波ガイド下針生検)でした。近年、MRI検査技術の進歩により、前立腺がんの局在診断に極めて有用となりましたが、MRIガイド下での前立腺針生検法は一般的に普及しておらず、医師の頭の中でイメージしつつ、経直腸超音波検査を用いて前立腺針生検を実施していました。そのため、MRI画像で前立腺癌を疑われても、針生検ではがんを発見できなかった場合があったと推測されます。今回当院で導入したMRI融合前立腺針生検システム「KOELIS TRINITY(コエリス トリニティ)」は、MRI画像を超音波診断装置内に取り込んで融合画像を構築することができます。つまり、針生検を行うときにMRI画像で前立腺がんを疑う部位を超音波画像に表示させることで、前立腺がんが疑わしい部位をより正確に組織採取することが可能となりました。当院のMRI融合前立腺針生検は基本的に1泊2日の入院で検査をしています。
採血をして血液中のPSAという物質の量を測ることができます。 PSA(前立腺特異抗原)は前立腺から分泌(精液中に放出される)されている物質です。 正常な方の血液の中にもわずかに含まれていますが、前立腺に異常があると濃度が高くなります。 前立腺癌がある場合も鋭敏に数値が上がるため、癌をチェックする有効な指標として使われています。 PSA基準値は一般的に年齢を問わず1mL中に4.0ng以下であれば正常とされますが、次の表のような年齢階層別のPSA基準値を用いてもいます。 前立腺がんの早期発見は、治療により完治が可能ですが、放置していることで重篤ながんに成長する可能性があります。
PSA4.0以上の方は、泌尿器科を受診して、PSAの上昇が何の病気によるものか診断することをおすすめいたします。当院では、PSA phiという血液検査や、MRI検査を利用して画像で前立腺がんの有無の検査することが可能です。
それらの検査の結果、前立腺がんの疑いがある場合には、前立腺針生検で組織を採取することになります。当院ではこの前立腺針生検をMRI画像を利用したMRI融合針生検をしております。 当院でPSA検査をされている方が年間4500名の内、約20%の900名の方が4.0以上となっております。その中で、前立腺がんが疑われる方は約50%、前立腺がん疑いの経過観察の方23%。前立腺肥大症と診断された方27%となります。 当院における針生検は30%の陽性率でしたが、MRI融合針生検の陽性率は50%となり、より的確に検査が可能となりました。陽性になった方でも、経過観察をすることもありますし、治療も選択することもあります。 当院では、1泊2日で針生検を行っています。検査当日に入院し、基本的に翌日の退院となります。 札幌医療圏でPSA検査をされている方は2022年に約7万人でした。また、前立腺針生検をされた方は、約2,200人でした。PSAが4.0以上であっても、泌尿器科を受診されない方が多く存在すると考えられています。針生検は、ほとんどの泌尿器科の専門病院で検査することが可能です。また、MRI検査が可能な施設であれば、針生検の必要有無を診断でき不必要な針生検を回避できる場合もあります。当院では、年間500件以上の針生検を行っており、札幌医療圏で針生検を受ける方の5人に1人が当院をご利用されているようです。PSAが4.0以上の場合は、お近くの泌尿器科を受診されるか、当院のような針生検を行っている専門病院に受診されることを推奨いたします。
健康診断などの血液検査で前立腺がん腫瘍マーカー(PSA)の値が4.0以上の方
非常に有効な検査ですが、PSA値は前立腺癌以外の異常(前立腺肥大症、前立腺炎など)でも上昇するため、PSA値が高い方すべてに癌が発見されるわけではありません。また、PSAが正常値であっても癌が発見されることもあります。1回で判断ができない場合は、時間をおいて数回測定し、数値の変動を見る場合もあります。PSA4.0以上は泌尿器科の受診を
当院におけるPSA検査の結果
当院における針生検の陽性率
当院における針生検の流れ
札幌医療圏(札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村)の針生検の事情