前立腺肥大症とは?

経尿道的水蒸気治療(WAVE)とは?

WAVE(WAter Vapor Energy):経尿道的水蒸気治療とは、水蒸気を用いて前立腺肥大症を治療します。
低侵襲かつ異物を体内に残さずに治療することが可能になります。

前立腺肥大症(Rezum) 前立腺肥大症(Rezum)

WAVEはどのような手術?

当院ではRezum(レジューム)システムを使用して、103℃の水蒸気を9秒間噴霧し、前立腺組織を約70℃まで上昇させ組織を壊死する治療を行います。 既存の前立腺肥大症に対する温熱療法とくらべ、水蒸気を利用しているため対流によってムラのない治療効果が実現され、尿道粘膜や性機能温存を可能としました。
治療時間は15分程度で、治療効果は、おおよそ2週間程度、長くても3カ月後には排尿状態の改善が期待できます。

Resumシステム Resumシステム

WAVEの治療成績は?

前立腺肥大の状況を判断するIPSSやQmaxの臨床結果で5年間の有効性が報告されています。
また、5年間での再手術率は4.4%であり、3年目以降は新たに手術が必要になった患者さんはいないとされています。

IPSS:軽度 0-7点、中等度 8-19点、 重度 20-35点

(HoLEPの場合 23→4点に改善)

臨床結果 臨床結果





Qmax:軽度 15ml/s以上、中等度 5ml/s以上、 重度 5ml/s未満

(HoLEPの場合 5ml/s→25ml/sに改善)

臨床結果 臨床結果

手術をおすすめしたい方

・薬物療法であまり効果がでない方


・外科的な治療のリスクが危惧されている方


・長期的にカテーテル留置をしている方でトイレに行ける方(自己排尿を目指す方)


・Urolift手術で体内にインプラントを残したくない方(特に尿路結石症になりやすい方)


当院におけるWAVEの治療

当院のおけるWAVEの治療は、安全を考慮して手術後のバルーンを抜去できるまでの入院期間5~7日間で行います。

外来診療

前立腺肥大症の程度を検査し、今後の治療方針を決めていきます。 手術に対応できる身体か、検査を行います。 血液をさらさらにする薬(抗血小板薬)を内服されていても治療は可能です。

入院

入院翌日が手術になりますので、前日から入院し手術に備えます。

手術

手術当日、病棟から手術室に徒歩で移動して手術を行います。 手術前に麻酔を行うためあまり痛みはありません。 麻酔の効きを確認してから、尿道に膀胱鏡を挿入し、WAVE手術を行います。 手術は約15分後に終了し、尿道にカテーテルを挿入して尿道の確保を行います。

術後の経過観察

入院時は、痛みや尿の状況を確認、ばい菌などがないか経過を観察します。 カテーテルが抜去できる状況になったら、排尿ができているか確認し退院します。 その後、退院1カ月後に外来を受診していただき、退院後の状況を確認します。

再発時の対応

数年後に前立腺肥大症となり排尿困難となった場合は、WAVE手術かその他の治療を選択します。

WAVE術後の経過

・はじめのうちは前立腺がむくんでいるため術前よりも尿の出方が悪いことがあります。2週間後から3ヶ月の間に、徐々に前立腺のむくみが取れ組織が壊死し治療効果が現れるようになりますので少し気長に症状の改善を待ちましょう


・治療の効果が出てくるまで術前に内服していた前立腺肥大症の薬は継続します。


・カテーテルを抜去しても尿が出にくい状態の時にはカテーテルを再留置して1週間程度経過を見る場合があります。


・術前に尿閉(尿が全く出ない状態)で尿道カテーテルを留置していた患者さんや自己導尿をしていた患者さんでは、術後もしばらくの期間、尿道カテーテルの留置や自己導尿が必要となる場合があります。外来で経過観察しながらカテーテルの抜去、自己導尿の離脱を検討します。


WAVEの合併症は?

低侵襲であるため、大きな合併症が少ない手術ではありますが、術後に下記の合併症を起こすことがあります。

尿道の痛み・違和感

水蒸気注入やカテーテルによる尿道や会陰部の違和感・疼痛を感じることがあります。鎮痛剤などで対応します。

尿路感染症

尿路感染症を発症することがあります。発熱を伴うこともあります。抗菌剤の内服・点滴で治療します。

肉眼的血尿

穿刺した部分や壊死した前立腺組織から出血し血尿が出現することがあります。止血剤の内服などで対応可能なことがほとんどですが、稀に麻酔をかけ止血術が必要になる場合があります。

排尿困難

排尿困難の原因が前立腺だけでなく膀胱の機能低下にもある場合には、症状が改善しにくいことが予想されます。

その他

・性機能への影響が少ない治療法ですが術前と全く同じ状態が維持されるかは個人差があります。精液量が減る可能性があります。
・しばらくの間、精液に血液が混じりますが異常ではありません。
・数ヶ月から1年以上たってから尿道が狭くなることがあります。

HoLEPとの選択に迷った場合はどうすればよいですか?

HoLEPは、WAVEよりも排尿機能が改善されるため、当院では前立腺肥大症の手術の第一選択としています。  前立腺の大きさや、併用薬や、手術に対応できる身体の状況により、HoLEPでは困難な場合にWAVEを選択する場合があります。

WAVEの入院期間はどれくらいでしょうか?

入院期間は約5~7日間です。 入院翌日に手術を行い、血尿の程度を見て手術4日後を目安に尿道カテーテルを抜去、尿の勢いの検査を行い退院となります。
手術に必要な検査は遠方の方以外は全て入院前の外来診察時に行います。

WAVEの費用はどれくらいでしょうか?

WAVEは保険適応となっております。保険の種類により費用は変わりますので詳細は外来事務窓口にてご確認ください。

前立腺肥大症 WAVEの動画