2014年4月29日 前立腺肥大症について
前立腺は男性特有の臓器で精液の一部を作る組織です。
膀胱の出口に尿道を取り囲むようにあり年齢とともに前立腺の内腺という組織が大きくなることが
あります。
前立腺の尿道に面した部分(内腺)が腫れてその結果尿道が圧迫され、尿が出にくくなる状態が
前立腺肥大症です。
前立腺肥大症は、年齢と深い関係にあり40・50代で症状が出始め60歳を過ぎると半数以上の人が夜間頻尿と放尿力低下を訴え65歳前後で治療を開始する人が多くなります。
80歳までには80%の人が前立腺肥大症になるとみられています。
前立腺肥大症は、食生活の欧米化等の要因により年々増加傾向にあります。
(厚生統計協会「患者調査」より)
◆前立腺肥大症の症状
Ⅰ期段階
夜おしっこで起きる。
排尿に多少時間かかかる。
残尿はない
Ⅱ期段階
排尿障害がつよくなり排尿後に残尿がある。
時に尿が止まってしまう。
Ⅲ期段階
尿でない。(尿閉)
大量の残尿が発生し、漏れてくる。
腎臓の機能に障害を与えることになります。
◆前立腺肥大症の検査
直腸診 (触診)
肛門から指を入れての診察です。
がんとの鑑別にも必要となります。
血液検査(血清PSA値の測定)
前立腺がんとの鑑別のために必要となります。
尿流量測定/残尿測定
尿の出る勢いと残尿量を測定します。
超音波(エコー)検査
前立腺の大きさを測定します。
尿路造影検査
上記症状の「Ⅱ期段階/Ⅲ期段階」が疑われる場合に行います。
◆前立腺肥大症の手術
経尿道的前立腺切除術 (TURP)
尿道から特殊な電気メスで腫れた前立腺の組織を切除します。
レーザによる前立腺摘出術 (HoLEP)
レーザを使用し、腫れた前立腺を摘出する方法
◆HoLEPの手術とは
特徴
出血が少なく、術後の電解質バランスのくずれも無く、安全な手術です。
前立腺の全体を核出するため、残存腺腫がほとんど無くなるため、
再発がほとんどありません。
内視鏡の手術後は尿道を確保するため、管を入れて排尿を助ける処置が行われますが、その管が短期間で抜去することが可能です。
術式
①肥大した前立腺の内膜と外膜の境目にホルミウム・ヤグレーザーを
照射し、内膜のみをくりぬくように核出します。
②核出した内膜を、膀胱内に移動させます。
③前立腺組織をお全て膀胱内に移動させた後、モーセレーターという
機器を用いて、前立腺組織を細かく切断しながら吸引し、体外に
排出します。
HoLEPとTURPの比較
以前より前立腺肥大症の術式で「TURP」という術式があります。
内視鏡を尿道から通して、電気メスで尿道側から前立腺の組織を少しずつ切り取る術式です。
前立腺をみかんに例えると下記の図のようになります。
患者様の病状に合わせて、HoLEPかTURPを選択し治療を行います。
◆その他の治療
薬物治療法
前立腺部の神経に作用して排尿状態を改善する薬、植物製剤などで治療します。
高温度療法
前立腺部を50度で一時的に加熱する方法です。